研究概要 |
本研究は,光並列演算とある種の並列演算モデルの親和性に注目し、それらを融合した光並列演算システムを実現しようとするものである.つまり,偏微分方程式で記述されるような並列演算モデルが要請する大規模並列性を光演算の原理的な並列性を利用して実現し、その演算に対し学習機能を導入することにより汎用性に欠けるとされてきた光演算に柔軟性を付与しようとするものである. 本年度は,前年度の成果を踏まえ,超並列演算処理機講のアーキテクチャの改良を行うとともに,新たに偏微分方程式を解くために光演算アーキテクチャとして,正の値と近傍演算のみで実現可能な光フィードバック系の構成手法を提案し,2階偏微分方程式の一つであるPoisson方程式を解くシステムを提案し,空間光変調素子を用いた簡単な実験系により実現可能性を検討した。 また,光ニューロコンピューテイングの一種である相関学習を用いた連想記憶の新しい学習方法を提案し,その方法が光コンピューティングの合った方法であることをシミュレーションで示した.この方法は光での実現は容易だが,性能が低いとされてきた相関学習に対して,スパースコーディングを主体とした3つの改良を行うことにより,光実現に難しい学習方法を用いて少ないニューロン数のネットワークを実現するよりも,実現の容易な相関学習でニューロン数の多いネットワークを実現する方が結果的に高い性能が得られることを示した. これらと同時に,本研究で開発している演算アーキテクチャの演算機能に関する評価方法,とくに演算の汎用性,並列化の限界等の評価方法の検討を行っている.また,前年度提案した超並列演算処理機構に光インターコネクションを導入し,フィードバック型の演算機構の実現の検討を行った.
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