研究概要 |
本研究は,半導体レーザ自体が示す非線形光学特性の物理を探究し,その応用について検討することを目的としている。 1.ツインストライプ型半導体レーザの作製とその発振特性:非線形光学特性測定用試料を自作する目的でリッジ型ツインストライプレーザを作製し,この型のレーザの特徴であるビーム偏向特性を確認した。 2.半導体レーザにおける内部第2高調波発生:自作したツインストライプレーザにおける内部第2高調波発生を測定した。劈開端面から出射する高調波はレーザ出力10mWに対し数十pW程度であった。内部第2高調波発生の高効率化のための一策として,高非線形性材料と低非線形性材料とを積層した擬似位,相整合表面発光型非線形導波路を半導体レーザ中に作りつける方法について検討した。GaAs(高非線形性)/In_<0.49>Al_<0.51>P(低非線形性)の積層導波路では,半導体レーザ(波長〜1μm)の通常の駆動条件下で得られる基本波パワーによって数十μWの高調波パワーが得られることが判明した。ミリワットレベルの高調波出力を得る可能性について引き続き検討する予定である。 3.半導体レーザにおける4光波混合効果:半導体レーザにおける3次の光学非線形性の起源を解明し直接変調周波数の突極的上限を明らかにするために,スペクトルホールバーニングとキャリアヒーティングの双方を考慮した密度行列新理論により非縮退4光波混合効果の解析を行った。両者の寄与は質的に異なる離調特性を持ち,従って,非縮退4光波混合効果の測定は非線形性の起源及び直接変調周波数の上限の解明のために有効な手段であることが明らかになった。4光波混合効果の測定を開始し現在までに離調10GHzまでの範囲の測定に成功した。今後,超10GHzの測定を行いその結果を理論と比較することによって,非線形性の起源解明を行う予定である。
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