研究概要 |
本研究では,従来の知識工学において用いられている知識の記号表現を補完するものとしてイメージ表現を考え,記号とイメージを統合的に取り扱い得るメンタルモデルの学習について,次の3領域で考察した。 1.人間の図的表現理解プロセスのモデル化 ある程度複雑な図的表現を,人間が意味があると考えるような部分図形に分解して記述するアルゴリズムとして,2値領域図形に対する手法を2種類開発した。線画で与えられる図形についても,同様な考察を進めている。さらに,複数の図形から,それらに共通する意味のある部分図形を学習するアルゴリズムについても,予備的考察を開始した。 2.エキスパートシステムにおける知識獲得 知識コンパイラに関する前年度までの成果を,関連研究であるモデルに基づく診断(MBD)の観点から考察した。その結果,対象モデル(装置モデル,プロセスモデル,位相知識)と付加象知識(経験則,ナイーブフィジックス)と診断戦略(定性値伝播,構造的故障局所化,因果パス追跡)から成るMBDの仮説生成システムの基本設計が完了した。また,空調機故障診断を題材として,構造的故障を診断できることを確認することにより,システムの有効性を示すことができた。 3.自然言語理解 昨年度に引き続き,4サイクルエンジンの動作説明文の理解を題材として,イメージ的知識を利用して機械機構の動作説明文を理解する枠組みを検討した。実験システムに自然語による質問応答機構を新たに付加し,質問応答実験を行い,これまで検討した枠組みの有効性を確認した。また,(1)複雑な部品接続構造を持った機械機構の動きのシミュレーション法,(2)2次元実数座標平面上の図形としては表せない実体,およびその変化の表現やシミュレーション法を検討した。
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