研究概要 |
1。連続スピンイジングモデルの低温展開理論を定式化して、2、3次元強磁性体の熱力学量を計算した。計算結果は臨界温度の2/3の温度までモンテカルロ(MC)の結果と良く一致することが判った。(T.Horiguchi,O.Nagai,and S.Miyashita;J.Phys.Soc.Jpn.61,308(1992)) 2。反強磁性三角格子(AFT)上の連続スピンイジングモデルの熱力学量をMC法で計算し、低温展開理論と比べた。内部エネルギーと比熱については両者は一致するが、磁化については一致しない。しかし、ミスフィットクラスターを考えるとその不一致は解消するものと考えられる。(T.Horiguchi,O.Nagai,S.Miyashita,Y.Mitatake,and Y.Seo;J.Phys.Soc.Jpn.61,3114(1992)) 3。AFT格子上の連続スピンイジングモデルのスピン相関関数のサイズ依存性をMC法で計算した。相関関数が距離のベキ依存性を示すことからこの系はKT的な相転移を示すことが示唆された。臨界温度以下で系は六つのPD相と六つのFR相を次々にとり、結果的にKT的な相転移を示すと考えられる。(O.Nagai,S.Miyashita,and T.Horiguchi;Springer Proc.in Phys.70,200(1992)) 4。AFT格子上のスピンSのイジングモデルについて、温度T=0でSが無限大の場合には長距離秩序(LRO)があることが示された。そのスピン構造はいわゆるPD構造である。更に、パイエルスの論法を用いてSが或る臨界値Sc=62より大きければLROがあることが示されている。しかし、MC計算の結果はS=8で既にLROがあるように見えて、MC計算ではSの臨界値を決定するのは無理である。(0.Nagai,S.Miyashita,ant T.Horiguchi;Phys.Rev.B47,202(1993)) 5。その他、AFT格子のS依存性、AFT膜の膜厚依存性等を計算中で、興味ある結果が得られつつある。
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