研究課題/領域番号 |
04231222
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 成蹊大学 |
研究代表者 |
堀 素夫 成蹊大学, 工学部, 教授 (70029396)
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研究分担者 |
坂本 昇一 成蹊大学, 工学部, 助手 (80235176)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
1992年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
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キーワード | マイクロクラスター / 分子動力学法 / 第1原理分子動力学法 |
研究概要 |
マイクロクラスターの電子状態を計算する方法として、これまでは分子軌道法(MO法)を用いてきたが、この方法では分子軌道を各原子の位置座始Riに依存するガウス型の基底関数で展開しているため、マイクロクラスターの安定構造や動力学を求めるのに必要な力-∂U/∂Ri(Uは全エネルギー)の計算が複雑になり原子数が数個のクラスターが限界であった。 電子の波動関数を平面波で展開すればこの力の計算は、局所的な基底を用いる場合に比べて簡単に行うことができる。平面波を用いるときは周期境界条件を考慮して、隣合うセルからのクーロン力の影響が小さくなるようにある程度の大きさのセルの中にマイクロクラスターを入れてシミュレーションを行う。 分子軌道法ではイオン化ポテンシャルや最高占有軌道(HOMO)と最低非占有軌道(LUMO)のエネルギーレベルの差などが直接求まるので、これをクラスターサイズNに対しプロットして、マイクロクラスターの金属性を判定することができた。 金属一非金属転移を調べるために、今回はマイクロクラスターを静電場Eに置いたときの分極率を計算する。 双極子モーメントpは各イオンの電荷をZi、電子の密度分布をpとして p=Σ^^N__<i=1>ZiRi-∫rp(r)dv で与えられるのでこれから分極率αはp=αEとして求まる。ただしここではイオン自体の分極は考慮していない。マイクロクラスターの構造が異方性を持つときには、αは2階のテンソル量になるので、クラスターの向きで平均をとりαとする。 また、分極によるエネルギー変化△Uは電場の強さに2乗に比例するので△U=λE^2この比例係数もクラスターの金属性の目安となる。 計算の手順は1)電場E=0のときのマイクロクラスターの安定構造をCP法で決める。2)この安定なマイクロクラスターに静電場をかけて構造を変化させる。CP法の実行中にイオンの運動エネルギーを徐々に取り去ることで、静電場中の安定構造が求まる。3)この状態でα、λをを計算しサイズNに対してプロットする。 平面波展開でマイクロクラスターを扱う場合、スーパーセルを大きめにとらねばならず、大きなクラスターの計算をするためにはより多くの平面波が必要になり、CP法で安定構造を求めるのにかなり時間がかかる。そこでクラスターサイズが大きいときには、平面波の代わりに局所的な展開基底を用いることが考えられる。この場合スーパーセル法のときのように周期境界条件にする必要がないので、マイクロクラスターの計算においては理にかなったものである。
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