研究概要 |
(1)Levitus(1982)の密度分布のデータとHellerman and Rosenstein(1983)の風応力分布のデータを用いて,診断的に求めた年平均流動場で,水平的には2°×2°のグリッド毎,鉛直的には125m深から250m毎に標識粒子を配置して,50年間数値的に追跡した。その結果を基に,各海盆,各層間で海方交換がどのように行われるのかを検討した。 10年間の粒子群追跡から,表層水(0〜500m),中層水(500〜2000m),深層水(2000m以深)の正味の交換量について定量的な評価を行い,その状況が分るダイアグラムを作成した。 (2)50年の粒子群の追跡結果を用いて,各大洋の置換時間(海水が入れ替わるのに要する時間スケール)を評価した。この方法による置換時間は,追跡期間が短くなるほど短くなるので,海水粒子が全球を1周する程度の追跡時間が必要であるが,50年の追跡結果を用いると,太平洋の深層で280年,大西洋の深層で95年,インド洋の深層で110,周極流海域や南極海で80年度であった。 (3)四季の密度場に伴う流動場を診断的に求めた。例えば,3月の密度場は,2〜4月に観測されたデータの平均として得られており,北半球の冬季の密度場を代表するものと考える。流動場で季節変化の大きい海域は,インド洋,太平洋の赤道熱帯海域,ウェッデル永などである。現在,この結果を用いて解析を行っている。
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