研究課題/領域番号 |
04233204
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
山下 晃 筑波大学, 化学系, 教授 (30134084)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1992年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | 星間物質 / 炭素質隕石 / 隕石ジカルボン酸 / 不溶性有機物 / 一次生成物 / 反応速度支配 |
研究概要 |
本研究は星間物質の名残を示す有機化合物が太陽系物質である炭素質隕石中に存在するかを解明することを目的とした。 このため、アミノ酸の存在がすでに確認されているやまと-791198隕石とマーチソン隕石を選び、それらに含まれる、1)カルボン酸の特徴、特に分子分布について、2)不溶性有機物質の構成成分の特徴、特に加熱分解における昇温温度と放出される分解成分との関連について調べた。 カルボン酸の分析は隕石試料を粉末化し、室温下、水で抽出した。抽出物はさらにBF_3/meoltで誘導化し、ガスクロマトグラフ(GC)/質量分析(MS)で個々のカルボン酸を同定・定量した。不溶性有機物質は隕石粉末から化学処理により回収した。この不溶性物質を熱分析計で昇温加熱しその際に放出される有機化合物をMSで同時検出し同定した。 どちらの隕石からも21種のジカルボン酸を検出、定量した。これらには直鎖構造のもの分岐のもの、および不飽和のものを含む。直鎖のものはC2のシュウ酸からC9のアゼライン酸であり、これらの存在量は炭素数の増加に対して指数関数的に減少した。 このような分子分布はこれらのジカルボン酸が一次生成物であり、また、C-C結合の生成により小さい分子から大きい分子への逐次反応により生成されたことを明確に示している。また、隕石カルボン酸の生成が反応速度支配に従すとの報告を併せて考えると、これらのジカルボン酸は比較的高温で密度の高い分子雲中で生成されたとの解釈になる。 一方、不溶性有機物質の熱分解では120種以上の放出成分が検出された。これらは主にベンゼンやナフタレンの誘導体である。加熱により放出される温度は300〜600℃の間で、いずれも似た温度範囲で放出された。これら7化合物は熱的に前駆物質から芳香族化により生成されたものであり、不溶性有機物質の成因についてはさらに検討が必要である。
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