研究課題/領域番号 |
04233216
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
植田 千秋 大阪大学, 教養部, 助手 (50176591)
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研究分担者 |
伊達 宗行 大阪大学, 理学部, 教授 (80028076)
山岸 昭雄 大阪大学, 極限物質センター, 助教授 (10006273)
山中 高光 大阪大学, 教養部, 教授 (30011729)
土山 明 大阪大学, 教養部, 助教授 (90180017)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1992年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 反磁性 / H1分子雲 / 磁場整列 / グラファイト / 磁気異方性 / 低温物性 / 粘土鉱物 |
研究概要 |
本研究では、銀河面H1領域、暗黒星雲などで観測される微粒子の磁気整列の可能性をさぐる目的で、低温での反磁性異方性測定の実現を進めた。室温における実験結果によると磁気整列は、磁気異方性エネルギーが熱エネルギーを上回ることで起こる。従って温度低下とともに、整列はより低い磁場で起こると予想される。今回、温度変化測定のための装置として低温状態を保持するためのデユワー瓶および内部の試料ホルダー部分を新たに作成した。そして星周・星間領域で存在が指摘されているグラファイト、シリケート等について170Kまでの測定を進めた。その結果、予想された温度変化を上回る低磁場で整列が観測された。これは反磁性異方性自身が温度の低下とともに増加していることを示すもので、20K以下のH1領域での反磁性磁場整列の可能性が大きいことを示唆する。この検証のため、今後実際のH1領域での整列実験をすすめる必要がある。 反磁性異方性の原因については、多くの物質の室温データを集積・比較した結果、定量的に矛盾なく説明できるモデルを見いだした。反磁性異方性は今から数十年前に、コランダム、方解石、水晶など基本的な無機結晶について報告されながら、これまでその原因が解明されていなかったもので、磁気物性として意義深い成果と考えられる。またこの結果により、ほとんど全ての非磁性物質のが磁場整列能率を持つことが明らかとなった。 H1領域における微粒子整列のメカニズムについては、Damis & Greenstein機構における磁性体緩和モデルに替わるものとして、反磁性異方性に起因する緩和機構を仮定した計算を進めた。グラファイトについて試算したた結果、Greensteinモデルに比べて緩和時間が1桁小さく、はるかに安定なモードとなることがわかった。この試算を発展させる上でも今後、20K以下での整列測定が必要である。
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