研究課題/領域番号 |
04236201
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
下條 信輔 東京大学, 教養学部, 助教授 (70183837)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1992年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | 感性 / 無自覚的過程 / ボトムアップ / トップダウン / 視覚的注意 / 運動視 / 錯視 |
研究概要 |
「感性情報処理」は、次のようないくつかの過程の相互作用としてとらえることができる:1)無自覚的過程と自覚的過程、2)感覚過程と運動過程、3)刺激依存的(ボトムアップ)の過程と意図的(トップダウン)の過程。視覚的注意の制御メカニズムは、このような三種類の相互作用のいずれにも関与する。空間的注意の実験的研究では、注意を感覚情報処理の局所的促進の効果として捉える。視野内にそのような処理効率の勾配が生じているとき、一本の線を物理的に同時に呈示すると、この勾配に応じて線が注意の向けられた側から逆の側へと描かれて見える新しい視覚イルージョン(注意による線分内運動錯視)を、見いだした。たとえば、視野内の一点を固視したままで片側に光点を短時間呈示し、引き続いて線分を呈示すると、この線分は光点の呈示された側から描かれたように見える。いくつかの根拠からこの結果は、空間的注が初期視知覚過程に直接影響を及ぼしていると解釈される。このパラダイムを空間的注意機能のさまざまな側面に応用し、次のような知見を得た。1)刺激のオンセットによる、注意の勾配のすばやい立ち上げ(<100ms)。2)刺激のオフセットによる、同様の立ち上げ。3)これらの効果の遷移的な性質(200-300ms以内に減弱)。4)これらの運動錯視と、注意の知覚順序に及ぼす効果との同型性。5)純粋に意図的・自発的な注意による、同様の運動錯視。6)この自発性コンポーネントの遅い立ち上げ特性(400-500ms)と、持続性。7)対象の移動に伴う注意の移動。8)聴覚的刺激や触覚的刺激による同様の運動錯視効果。9)検出あるいは弁別いき値以下の視覚手がかりによる同様の効果。10)いわゆるポップアウトの事態における同様の効果。これらの諸知見から、さきに述べたような知覚認知系のさまざまな統合機能に、「感性」への新しいアプローチの方向が示唆され得るものと期待している。
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