研究概要 |
以下に述べるいくつかの項目について研究を行ない成果を得た。 1.酸素ノンストイキオメトリ (Nd,Ba)_2(Nd,Ce)_2Cu_3Oy,Pb系1201相,Bi系2201相の置換体Bi_2(Sr_1-xLax)_2CuOy,YBa_2Cu_4Oyについて、酸素ノンストイキオメトリーを温度、酸素圧の関数として決定した。また、酸素量とTcの関係を、LSCO,LnBa_2Cu_3Oy,Bi系2201相,2212相,2223相,2201相のSrの一部をLaで置き換えた置換体,上記(Nd,Ba)_2(Nd,Ce)_2Cu_3Oy,Pb系1201相,1212相,3201相,3212相について調べ、すべての場合Tcの酸素量に大きく依存することを示した。T1系3相についてもTcの酸素量依存が明らかになっているので、すべての酸化物超伝導体についてTcの酸素量依存が実験的に確かめられたことになる。酸素量をキーパラメーターとすることが酸化物高温超伝導体研究に重要である。 2.イオン的欠陥の研究 Bi系2212相及び2201相とそれを取りまく周辺組成について850℃から820℃の間で10度おきに組成状態図を作成した。2212及び2201両相の安定領域で、金属一成分のみについて組成を変化させて、ピクノメトリーにより、密度を測定した。一方、粉末X線回折により定めた格子定数と金属成分の化学分析の結果より、欠陥のタイプを想定してその密度を理論的に求め、理論密度と測定値を比較して欠陥型、置換型を区別した。 3.高温度電率の測定、キャリア密度・易動度の算出 (Nd,Ba)_2(Nd,Ce)_2Cu_3Oyを始めとする多くの酸化物について、高温導電率を温度、酸素分圧の関係として測定し、酸素ノンストイキオメトリの温度、酸素分圧の関数として測定した結果を比較して、その類似性から、高温導電率は酸素ノンストイキオメトリと密接な関連があることを見出し、両者を組み合わせて易動度とキャリア密度を算出した。
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