研究課題/領域番号 |
04240220
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
井川 博行 東京工業大学, 工学部 (30016612)
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研究分担者 |
真崎 正美 東京工業大学, 工学部, 助手 (90234153)
田中 順三 科学技術庁, 無機材質研究所, 主任研究室
福長 脩 東京工業大学, 工学部, 教授 (20199251)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1992年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | 高温超伝導体 / プラセオジウム / T^*型構造 / La_2SrCu_2O_6型構造 / 分子軌道法 |
研究概要 |
La_2SrCu_2O_6型(2126型)化合物の合成および物性の測定を通して、また、T^*型超伝導化合物の光電子分光測定、およびその分子軌道法計算による電子状態のシミュレーション、超伝導酸化物の物性に対するPr置換の効果について検討した。 2126型化合物にはアルカリ土類、ランタニドが混合して占有する蛍石サイト、岩塩サイトがあることが知られており、本研究においてはそれらのサイトの占有率が置換元素によって異なることがX線回折分析によって明かとなった。2126化合物ではPrイオンが蛍石サイトを占有しているときにキャリアーが局在化し、同サイトにおけるPrイオンの占有率が低下するとともに伝導率が向上した。この結果は5配位のピラミッド型の配位をとるCuイオンの配位多面体に対し、その底面側に蛍石型に配位したPrイオンが存在した際に、すなわち、結晶中の配位関係がY123構造やT^*型構造に類似の構造となった際に、Prによるキャリアーの局在がことが示唆された。 また、T^*型化合物から〔LaPrCu_4O_<20>〕という形のクラスターを抜き出し、分子軌道法によってこの化合物の電子状態を計算した。計算ではPr4f電子を含む分子軌道はPr4fが約30%,Cu3dが約30%,02pが約40%という構成になっており、最高被占有準位の近傍(エネルギー差が0.01eV以下)に存在しているという結果が得られた。X線光電子分光スペクトルで、T^*型超伝導酸化物中のPrイオンの4f軌道のエネルギーは価電子帯の最高エネルギーと同等の値であることが明かとなっており、測定結果と計算結果は整合するものであった。T^*化合物中ではCuイオンが5配位でありdz^2軌道が一方にのみ配位子を持つため、配位子のない側に伸びたdz^2軌道がPr4f軌道との間に結合を形成することを示された。 Pr置換体異常を示すY123型化合物とT^*型化合物に共通の特徴としてCuイオンが5配位でありその底面に蛍石型のPrが存在するということが上げられる。先に示した2126型化合物のPr置換実験結果、および、T^*化合物の計算結果から、Cuイオンの3d軌道のうちのdz^2軌道のPr4f軌道の間の結合の形成が伝導帯の状態に大きな変化を与え、これがPr置換体異常に大きく関与しているていることが示唆された。
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