研究概要 |
ペロブスカイト構造等の六配位座をもつ遷移金属酸化物においてd-電子軌道は明確なエネルギー分裂を起こしたdεバンドとdγバンドを形成するものと仮定して六配位座を占める適切な遷移金属イオンに対して化学的手法により5通りの場合について原子価制御を行って金属導体化した新物質をつくり、超伝導の可能性を探索した。さらに高温超伝導機構解明に資することを、目的とする銅系超伝導酸化物の単結晶育成を行った。その結果以下の新事実を解明した。 1.層状酸化物Ca_<n+1>Ti_nO_<3n+1-δ>(n=2,3,∞)を合成したところ、良好な金属伝導体が得られることが判明し、その酸素欠損量δを制御した試料の電子伝導機構を解明した。 3.低スピン系のRh^<3+>イオンを含むペロブスカイト型酸化物LaRhO_2中のLaをCa,Sr,Baで置換することによりdεバンドに正孔を導入し、室温付近で金属的伝導性を発現せしめることに成功した。また層状の新酸化物SrLaRhO_4とSr_2RhO_4の固溶体を合成することに成功し、その伝導機構について詳細な検討を行った。 3.Pb^<4+>イオンを含むペロブスカイト型酸化物中のPbをSb,Biで置換することにより金属伝導性を発現されるのに成功し、その伝導機構について詳細な検討を行った。 4.銅系超伝導酸化物単結晶La_2CuO_4,La_<2-x>Ba_xCuO_4,Bi_2Sr_2Ca_1Cu_2O_8を合成し、低温での相転移挙動、超伝導性、インターカレーションによる物性変化について詳細に検討を行った。
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