研究課題/領域番号 |
04240232
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
浴野 稔一 広島大学, 総合科学部, 助手 (40185103)
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研究分担者 |
高畠 敏郎 広島大学, 総合科学部, 助教授 (40171540)
藤井 博信 広島大学, 総合科学部, 教授 (30034573)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1992年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 高温超伝導 / トンネン効果 / エネルギー・ギャップ / フォノン構造 / 強結合超伝導 / ギャップの対称性 |
研究概要 |
電子トンネン分光法では、トンネルコンダクタンスの測定を通して超伝導エネルギーギャップの構造を直接調べることができ、また、フォノン構造等の励起構造の超伝導機構に直結した情報を与える。本研究では銅酸化物超伝導機構が従来のBCS理論に従うものか、若しくは新しい発現機構によるものかを明らかにするために、これらの銅酸化物超伝導体を、この電子トンネル分光法により調べた。超伝導転温度Tc=30〜90Kとの各物質におけるエネルギーギャップ2△は、2△=4〜6KbTcと求まり、これは強結合超伝導の領域である。また、Tc=30〜90Kの範囲では、2△/kbTcの値の依存性は弱いものであることを付記する。得られたギャップ構造の形については、BCSギャップ関数に準粒子寿命効果をとり入れた場合、又はBCSギャップのガウス型確率分布型で良く記述され、これより電子対が基本的にはS波対の対称性を持つと解釈される。異方的d波対性を持つギャップ構造の存在は、このトンネル分光法では確認できておらず、他の実験手段特に核磁気共鳴法との矛盾は未解決のままである。従来のBCS型超伝導体では、電子-フォノン相互作用が発現機構を但っているが、この銅酸化物超伝導についてこの効果を調べた。Tc=30K級のLa_<1.85>Sr_<0.15>CuO_4(LSCO)については超伝導状態において、電子と相互作用するフォノンの構造を明確に再現性良く観測した。この構造を解析することにより電子-フォノン相互作用の強さλ=1.2〜1.5と見積もられた。これは、従来の超伝導体とあまり変わらない。また、これによりTcの値は30Kと計算され、このLSCOの超伝導構は来のBCS型と同様に電子-フォノン相互作用が支配的であるとの結論を得た。なお、Tc=90K級の銅酸化物についても同様に調べたが、明確な結論は得られていない。さらにフォノンの遮断エネルギー以上の領域に励起構造を観測しており、新しい発現機構である可能性を現在調べている。
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