研究概要 |
二次元および擬一次元カルコゲナイドの合成と電気伝導測予を行ない超伝導転移の有無を調べた。測予は3Kから室温まで行なった。以下に結果を列記する。 1.BaCu_4S_3:二次元物質である。金属伝導を示すことがわかった。100Kと200K付近に相転移があり、後者の転移はDSC測予から1次であることがわかった。超伝導転移Tcは観測されなかった。 2.LaOCu(S_1-xSex):二次元物質である。全率固溶することがわかった。抵抗値は小さいが、温度変化は半導体的であり、超伝導は観測されなかった。 3.AxNb_3X_4(A=Ag,K,In etc;X=S,Se,Te):Nb-Nb鎖を有する擬一次元化合物である。Nb_3S_4,Nb_3Se_4,Nb_3Te_4はそれぞれ4.0,2.1,1.8,KにTcをもつ超伝導物質である。今回、NbにTa,V,Moを置換することにより、1〜3KのTcの上昇が観測された。またInNb_3Te_4においては3K近くのTcの上昇がみられた。 4.Ba_1-xTaS_3:Ta-Ta鎖をもつ擬一次元化合物である。Ba欠損量の増加につれて伝導性は半導体的から金属的に変化し、金属伝導を示す試料では3K付近にTcが観測された。ただし超伝導の発現は不純物による可能性もある。 5.Ba_1-xNbSe_3:BaTaS_3と同じ構造である。電気抵抗は室温から200K付近までは半導体的、200K以下で金属的になり、3K付近でTcが観測された。 6.ACu_7S_4(A=Tl,K,Rb):Cu-Cu鎖をもつ擬一次化合物である。190〜200K,〜245Kに相転移がある。Tcは観測されない。
|