研究概要 |
次のIで前周期遷移金属錯体Cp_2TiCl_2を用いる炭酸ガス固定の基礎的知見を得、IIで同Ti錯体による不斉炭酸がス固定を実現した。I.グリニャール試薬存在下種々の側鎖・置換形式を有するジエンとCp_2TiCl_2から発生させるCp_2(η^3-アリル)Ti錯体の炭酸ガス固定における挙動について次のi〜iv)に分類できることを見出し、考察した。i)ジエンが全くTi錯体に取り込まれない場合(シクロオクタジエン)、ii)ジエンが取り込まれても中間の錯体が分解する場合((2-(1-メトキシ-あるいは2-メトキシアルキル)-1,3-ブタジエン)、iii)ジエンが取り込まれたCp_2(η^3-アリル)Ti錯体の生成が確認できるが炭酸ガスと反応しない場合(1-ビニル-1-シクロヘキセン)、iv)ジエンからCp_2(η^3-アリル)Ti錯体を経て炭酸ガス固定が進行する場合(ii以外の2-アルキル-1,3-ブタジエンあるいはシクロペンタジエン)。II.Cp_2TiCl_2に不斉を導入し実施する不斉炭酸ガス固定につき、Cp^*(*:不斉要素)として単座性のものより2座性のしかもC_2対称を有するものが、またCp^*より嵩高くTi原子周辺での不斉場構築に役立つη^5-インデニル基(Ind^*)を有するものが有効と考えた。この設計方針に従いいくつかの文献既知の2座性C_2対称(Ind^*)_2TiCl_2を合成し、実際に炭酸ガス固定を行なった。このうち(1S,2S,4S,5S)-2,5-ジイソプロピル-1,3-ジインデニルヘキサンを有するTi錯体と2-ノニル-1,3-ブタジエン(I-iv)参照)から発生させたη^3-アリルチタン錯体による炭酸ガス固定が最高の不斉収率を示した。すなわち、得られた2-メチル-3-ノニル-3-プテン酸はS体で96〜97%eeを示し、ほぼ完璧な不斉炭酸ガス固定が実現できた。生成物の絶対構造を(Ind^*)_2TiCl_2錯体のそれと照合し、反応の経路について立体化学的に考察した。
|