研究概要 |
5,5'-ジブロモ-2,2'-ビピリジンとゼロ価ニッケル錯体の反応により、ポリ(2,2'-ビピリジン-5,5'-ジイル)PBpyを合成した。このPBpyは従来知られていなかった特徴あるn型導電性高分子配位子であり、ルテニウム、ニッケルなどの遷移金属と錯体を形成することが明らかとなった。そして、PBpyが導電性を有することにより、電気的に配位子を通して金属錯体中に電子を供給できることがサイクリックボルタンメトリーにより分った。ニッケル錯体の場合には、室温の反応において、PBpy中の2,2'-ビピリジン単体の約35%にニッケルが配位した高分子錯体が得られ、この高分子錯体で修飾した電極にAg/ Ag^+に対し約-2.2Vの電圧を二酸化炭素雰囲気下で印加すると二酸化炭素が還元されて一酸化炭素が生成することがガスクロマトグラフィーによる分析によって明らかとなった。さらに、PBpyの溶解性を向上させる目的で構成単位の2,2'-ビピリジン単位にヘキシル基を導入したπ共役導電性高分子配位子を合成した。この高分子配位子はトルエン、クロロホルムなどに可溶であった。 メチル銅錯体とフェノール、含フッ素アルコール類との反応によるフエノキシ銅(I)、アルコキソ銅(I)などの錯体を合成、単離した。これらの錯体は二酸化炭素の化学固定を行なうことが期待される錯体である。いくつかの前記銅(II)錯体についてはX線結晶構造解析用の単結晶を得て分子構造を解析している。
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