研究概要 |
最近研究代表者はゼロ価ニッケルートリアルキルホスフィン錯体触媒を用いるジインとCO_2の1:1環化付加共重合という新しい共重合反応によるポリ(2ーピロン)合成を見出した。ポリ(2-ピロン)は従来報告例のない新しいポリマーであり、2ーピロン環は多彩な化学反応を行うことが知られているので、興味ある用途が見出されるものと期待される。従って種々の構造を有するジインを反応に用いることができるならば、このポリ(2ーピロン)合成法は極めて有用になる。本研究では1,3ーおよび1,4ージ(2ーヘキシニル)ベンゼン(1および2)とCO_2の反応を行うと1:1環化付加共重合が起こり、フェニレン基を主鎖中に有するポリ(2ーピロン)が生成することが見出された。 ビス(シクロオクタジエン)ニッケルとトリーnーオクチルホスフィン配位子とから生成させたゼロ価ニッケル錯体触媒が、テトラヒドロフランーアセトニトリル混合溶媒中80℃,10ー50kg/cm^2のCO_2圧下1とCO_2の効率的な1:1環化付加共重合をひきおこし、分子量6000ー7000のフェノレン基を有するポリ(2ーピロン)を50%前後の収率で生成した。一方2も同様な条件下にCO_2と反応して分子量9000ー12000のポリ(2ーピロン)を60%前後の収率で生成した。1:1環化付加共重合によるポリ(2ーピロン)の生成は、IR, ^1HNMRおよび^<13>CNMRスペクトル分析とコオリゴマーのカルボニル基のIR吸収を用いる共重合体中の2ーピロン環含量の定量により確認した。
|