研究概要 |
1.CN B^2Σ^+〜A^2II摂動の磁場効果臭化シアンBrCNをArFレーザーで光解離してCN(X)を作り、さらにそれをレーザー励起して、CN(B)の高い回転準位を生成した。着目した摂動は、B(v=0)とA(v=11)との間のもので、J=591/2準位での摂動である。励起状態間の混ざり合いの係数,ρ,の磁場依存性は、摂動項およびゼーマン項を取り入れたハミルトニアン行列の対角化により求めた。一方、非摂動のA状態およびB状態の寿命がわかっていれば、摂動線の寿命を測定してρを算出できる。非摂動のB状態の寿命としては、隣接する回転準位での実測値を用い、非摂動のA状態の寿命は、ゼロ磁場で実測した摂動線の寿命から推定した。実験した磁場の範囲では、ρの変化は大きくはないが、予想される寿命の変化は、実験結果と同一の傾向を示し、誤差の範囲で矛盾しない結果が得られた。 2.NOβバンドの磁場消光 これまでの研究結果から、磁場効果はNO(B)状態の脱励起過程に現れることが示唆されていた。そこで、NO(B)を光励起で振動状態を選択して直接生成し、その発光の磁場効果を測定した。今回は、三原子分子N_2OのArFレーザーによる光解離でNO(X)の振動励起状態を作り、その状態からNO(B)状態へ波長可変色素レーザーで励起した。このようにして、B状態のv=0,1,2からの発光を測定したが、放電フロー実験に対応する磁場消光はまったく観測できなかった。また、ArFレーザーを用いるとNO(X)からB状態のv=7が直接励起できるが、この状態にも磁場効果がないことが明らかになった。したがって、今回の実験によってNO(B)状態の脱励起過程は外部磁場によらないとの結論が得られた。したがって、現段階で残された課題は、生成過程におけるNOの他の電子励起状態との関連を詳しく調ベることである。
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