(2+1)次元量子動力モデルにおいて、宇宙のトポロジーが変化しうることを、準古典近似のはんていで示した。 具体的には、負の宇宙項をもとに、アインシュタイン重力理論におけるトンネル効果を記述した。トンネル効果は、ユークリッド領域と、ローレンツ領域の遷移としてあらわされる。その境界は全測地的である必要がある。したがって、2次元宇宙のトンネル効果によるトポロジー変化は、トポロジカルに異なる2つの全測地的な2次元面を内挿する双曲的なリーマン空間をつくることに帰着する。 われわれは、双曲幾何を用いて、多数のトポロジー変化をあらわす多様体を構成することができた。 次に、それらがおこる確率振中を準古典近似でもとめた。結果は、双曲多様体の体積が大きい程、確率が小さいように一見思えるが、双曲多様体の体積分布に集積点があるため自明でない。このために、ある特定のモデコライをもつ宇宙が出現すると結論される。 さらに、点粒子を導入すること行なった。アインシュタイン-インフェルト-ホフマンの立場では、粒子は空間から除去された欠陥としてあつかわれる。(2+1)次元時空では、それは、欠損角をもつ点の軌跡としてあらわされる。上記のトポロジー変化に伴なって、粒子も対生成されることが示された。 最後に、ローレンツ領域の時間のとり方を与えることに成功した。
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