平均曲率一定の閉曲面のうち、特にトーラスからの平均曲率一定のimmersions(以下CMC immersionsと略記)全て(モジュライ)を記述するよい方法を見出すことを目標に研究をすすめた。トーラス及びその普遍被覆であるR^2からR^3へのCMC-immersionsの構成に対して、Pinkall and Sterlingの優れた理論があり、R^2からR^3へのある種の性質をもつCMC-immersionsについては、その構成方法が明らかにされたといってよい。そのimmersionsがトーラスからのimmersionsになっていることを判定する方法は、超楕円曲線の代数幾何学と関連することは分っているが、なかなか捉えにくい。具体例の計算等試みたが、モジュライを明らかにするという当初の目標にはいまだ遠い状態である。今後引き続き研究をすすめたい。 Pinkall and Sterlingの理論は、可積分系理論と深く関わっている。また、コンパクトリーマン面(特に球面やトーラス)から、球面もっと一般にコンパクトリー群や対称空間への調和写像の構成、分類問題も可積分系の理論と結びつき、著しく進展してきている。そこで、CMC-immersions、調和写像、可積分系理論、それぞれの分野の研究詔からなる研究集会を主催し、互いの研究交流と研究の促進をはかった(92年12月21日、22日、93年1月22日、23日、29日、30日)。多くの院生を含む50名をこえる参加者があり、活発な意見交換がなされた。この研究集会の成果は、直接的には現われていないが、研究分野の異なる研究者の交流がなされ、大いに刺激をうけた。今後の研究の進展に結びつけたい。
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