研究概要 |
今年度の本研究では,調和写像及びYang-Mills接続に関する研究を行った。これらの機何学的対象は極小曲面と微分幾何学的には非常に近い対象であり,これらに関する解析的な結果,及び手法は極小曲面の場合に対しても応用が可能である。 はじめに,調和写像の研究として,以下にような研究を行った。調和写像の汎関数はRiemann多様体の間の写像が与えられた時,そのgradientの2乗の積分として定義されているが,この定義の一般化として,p乗の積分を汎関数として考えるp-調和写像が知られている。この定義により,p-調和写像はpが定義域の多様体の次元よりも小さい時にある種のコンパクト性が成り立つことが知られている。この定義を一般化して,指数調和写像に関する考察を行った。指数調和写像は,任意の次元のRiemann多様体に対してコンパクト性が成り立つので,幾何学的には重要なものと考えられる。しかしながら,その解析性に関しては詳しいことが考察されていなかった。本研究では,ユークリッド空間の間の指数調和写像に関するHolder連続性を考察した。 一方,調和写像とならんど,Yang-Mills接続の汎関数に関する考察も行った。本研究では,5次元以上のRiemann多様体上のYang-Mills接続の流れの方程式の爆発に関する結果,及び4次元Riemann多様体上Yang-Mills接続の流れの方程式の弱解の存在に関する結果を得た。これらのYang-Mills汎関数に関する結果は,それぞれ3次元以上,2次元の調和写像の流れの方程式に関する結果に対応している。
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