研究課題/領域番号 |
04246106
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
津本 忠治 大阪大学, 医学部, 教授 (50028619)
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研究分担者 |
臼井 支朗 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (40023337)
村上 富士夫 大阪大学, 基礎工学部, 教授 (20089882)
水野 昇 京都大学, 医学部, 教授 (10025596)
塚田 稔 玉川大学, 医学部, 教授 (80074392)
山本 長三郎 金沢大学, 医学部, 教授 (50008231)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
33,000千円 (直接経費: 33,000千円)
1992年度: 33,000千円 (直接経費: 33,000千円)
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キーワード | 脳 / 神経回路 / モデュール / 海馬 / 長期増強 / シナプス可塑性 / 記憶 / 長期抑圧 |
研究概要 |
1.研究目的 脳の神経回路は、多数の基本的な回路(回路モデュール)を組み合わせることによって構成されている。したがって、この回路モデュールの動作特性が脳における情報処理の基礎をなすことになる。本研究はこのような認識のもとに、脳内神経回路モデュールの動作特性を実験的に明らかにすること、及びこのモデュールが如何なる原理によって脳の情報処理回路を構成しているのかを計算論的に明らかにすることを目的としている。 2.研究経過 津本班員は、幼若ネコの視覚野において、同時に記録した2個のニューロン活動の相互相関解析を行い、横方向の結合は生後4〜6週令で広くなるが、その後縮小して成熟コラム構造が出来上がるらしいことを見い出した。山本班員は海馬の記憶回路のひとつであるCAIニューロンとSchaffer側枝シナプスにおいて、シナプス後細胞のNMDA受容体だけを賦活させても長期増強が起きること、及びこの長期増強の際にはシナプス前部からの伝達質放出増加が起きていることを示唆する結果を得た。塚田班員は、新皮質、内嗅野皮質及び海馬からなる3層の海馬一皮質記憶システムを提唱しその理論的考察を行った。水野班員は、免疫組織化学的手法によってラット線条体はアセチルコリンエステラーゼ様免疫活性の強いマトリックスと活性の弱いパッチの二種類の単位構造(モデュール)からなること、さらにはグルタミン酸合成酵素(グルタミナーゼ)活性はパッチに強いことを明らかにした。村上班員は、ネコの大脳一赤核投射において幼若期の一側性皮質損傷後に起きる交又性投射は対側の赤核に存在した軸索からの分枝による可能性が強いことを見いだした。臼井班員は、最大情報保持原理に基づいて自己組織的に構築した階層型神経回路モデルにおいて3種の錐体ユニットからなる入力を与えたところ、二重対立型色受容野に対応する受容野をもつものが出現し生理実験のデーターをよく説明する結果を得た。 3.総括 本年度は大脳新皮質、海馬や線条体におけるモデュール構造の存在及びその動作様式に関する重要な発見があった。また、計算論的モデルによるモデュール回路の構成・動作原理の理解も進展した。
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