研究概要 |
人間の視野領域は低解像度の視野全体の中から低次は特徴を用いて興味対象を捜し出す周辺視と,対象を注目した後,詳細に認識する中心視に大まには分類される。我々はこの二つの視野領域における機能の分化・協調動作を、効率的で能動手な情報処理の本質と捉え,このような視覚系をモデル化した。本年度は特に次の二つの課題を集中的に研究した。その一つは周辺視の機能として興味対象を学習してこれを提示画面から抽出する特徴抽出ネットワークの構築である。第二の課題は低次な特徴抽出と符号化をニューラルネットワークが分担し,高次な記号処理的理解を従来のAI技法が分担するというハイブリッド構成の視覚システムの構築である。 本年度はシーンの中から特定の趣味対象物体を周辺視によって検出するシステムを構成した。また直線,曲線,頂点といった特徴検出と符号化を階層的なニューラルネットワークによって処理するシステムを構築した。さらに低次な特徴抽出をニューラルネットワークが行い,高次な記号処理的な解釈を人工知能の研究で従来よりよく知られる線画解釈アルゴリズムによっt行うという新しい発想に基づく認識機構を開発した。このようにして低次ながら柔らかな認識処理が要求される機構をニューラルネットワークに,また意味論手な解釈あるいは推論を必要とする機構をAI的記号処理にそれぞれ分担させるハイブリッド認識システムによって全体としては高度な処理機構が構成されることを確認した。
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