研究課題/領域番号 |
04246236
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
安井 湘三 九州工業大学, 情報工学部, 教授 (50132741)
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研究分担者 |
古川 徹生 九州工業大学, 情報工学部, 助手 (50219101)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1992年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 視覚 / 色覚 / 網膜 / 神経生理 / 細胞生理 / シナプス / ホメオスタシス / ニューラルネット |
研究概要 |
本年度の主な成果を以下に概説する。 (1)色と明暗順応に依存する受容野サイズの可塑性制御 ギャップ結合を介して互いにカップルする鯉網膜の水平細胞は広い受容野をもつが、上記の機構をH1型水平細胞がもつことを今回明らかにした。これは本報告者らがこれまで数年にわたって蓄積した研究結果のひとつの帰結といえる。ここで主役を演じるのは短波長感受性の錐体視細胞からH1細胞への特異型のシナプスである。すなわち、これは符号反転性ではあるが通常の抑制性ではなく伝達物質が後膜gmの減少をもたらすタイプであり、長波長錐体からの通常の興奮性(non-MNDA)シナプスと対比される。さらに、問題のシナプスはAPB(2-amino-4-phosphonobutyrate)および暗順応により阻害される。以上から次頁の図に示すようなケーブルモデルを得る。光は視細胞を過分極し伝達物質放出量の減少を起こすことを考え合わせれば、明順応時における短波長刺激の受容野は長波長に比べて狭いはずである。この予測は今回実証された。水平細胞シンシチアムの空間定数はギャップ結合抵抗Rgと膜抵抗Rmで決まるが、本モデルではRmが可変となる。これは、ドーパミンによるRgの修飾による周知の機構とは異なる新しい横方向の信号伝達路といえる。 (2)ニューラルネット不要経路の自律淘汰に関する新しいアルゴリズムの開発 ニューラルネットワークの応用に際して、個々のタスクに対して最小規模の回路構造を事前に知ることは、経済性、ローカルミニマムの回避、タスク自体の理解と洞察、モジュール化、計算論的脳研究などの観点から重要である。この問題についてシナプス荷重の相互抑制に基づく原理を考案し、例題に対して良好なテスト成績を得た。一方、本研究では双極細胞受容野の可塑性、とくにその明暗順応あるいはSN比に依存する側面を実験および計算論に基づいて究明してきた。双極細胞受容野の周辺部は水平細胞に由来するので(1)の成果とも関連し、本アルゴリズムの応用も導入した今後の進展が期待される。
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