研究課題/領域番号 |
04246241
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
小松 由紀夫 京都府立医科大学, 医学部, 助教授 (90135343)
|
研究期間 (年度) |
1992
|
研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
|
配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1992年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
|
キーワード | 長期増強 / 大脳皮質視覚野 / シナプス伝達 / Cuチャンネル / 興奮性シナプス後電位 / 発達 |
研究概要 |
大脳皮質視覚野細胞の反応性は発達期の視覚入力により可塑的な変化を受ける。シナプス伝達の長期増強はネコの視覚野では視覚反応の可塑的変化が起きる時期に限って見られるので、視覚反応の可塑的変化の基礎となる神経機構と考えられる。従来の研究でNMDA受容体は視覚野の長期増強の発現に関与しないしないことを明らかにした。本年度は大期増強の発現へのシナプス後細胞のCa^<2+>チャンネルの関与を検討した。白質の電気刺激によって視覚野細胞に引き起こされる単シナプス性興奮性シナプス後電位(EPSP)を細胞内記録により解析した。視覚野細胞に順行性活動電位を引き起こすよりも少し強い刺激を白質に与えると活動電位の下降層に脱分極反応が付加された。この反応は、記録電極から通電し膜電位を過分極するか、脱分極しておくと消失し、T型のCa^<2+>チャンネルをかなり選択的にブロックすることが知られているNi^<2+>(100μM)を潅流液に加えると小さくなるので、T型Ca^<2+>チャンネルによって引き起こされる脱分極反応(T反応)と考えられる。条件刺激(2Hz,15分)がT反応を引き起こす場合に限って長期増強が発現し、Ca^<2+>キレーターのBAPTAを記録電極から細胞内に注入しておくと、条件刺激がT反応を引き起こしても長期増強は発現しなかった。従って、条件刺激によりT型Ca^<2+>チャンネルが開きCa^<2+>がシナプス後細胞に流入しCa^<2+>濃度が上昇することが長期増強の発現に必要と考えられる。しかし、記録電極からパルス通電することによりシナプス活動なしにT型Ca^<2+>チャンネルを活性化する刺激を2Hzで15分間加えてもEPSPには何等の変化も見られないので、シナプス後細胞のCa^<2+>濃度が上昇するだけでは長期増強を引き起こすことができず、シナプス前線維の活動が不可欠であると思われる。
|