研究概要 |
1.ビーム走査型多数点同時計測システムの検討 He-Neレーザ光を音響光学偏向素子を用いて1次元走査し,コイ心室上の1mm間隔の4点における活動電位を光計測した.興奮伝搬に伴う活動電位波形の立ち上がりの遅延時間について光学的計測結果と電気生理学的結果を比較検討した.興奮伝搬による活動電位波形の時間差を光学的に検出することができた.これにより,CCD素子を用いるサブミクロンオーダの空間分解能を有するレーザプロービングシステム開発の基礎的なデータを得ることができた. 2.イオンチャネル光プロービングシステムの検討 ミクロンオーダでのイオンチャネル近傍の電界分布を光学的計測するために微小光プローブシステムを試作し,励起用レーザ光の集光特性を明らかにした.試作した微夫光プローブシステムの励起系は半導体レーザ,非球面レンズを用いた光学系により構成し,受光系はビームスプリッタ,光ファイバ,分光器,光電子倍増管などの光学部品,光学機器により構成した.空間分解能を半値幅にて定義すると,焦点における励起用レーザ光のビーム径は1.5μmであり,イオンチャネルの微視的解明のために十分な性能を有することを示した. 3.膜電位感受性色素の膜電位感受機構の検討 膜電位感受性色素の膜電位感受性機構を検討するため,膜電位感受性色素溶液に外部電界を加え,その時の吸収および蛍光放射スペクトルを測定した.また,分子軌道法(P.P.P.法)を用いて外部電界による吸収,蛍光放射スペクトルの変化について検討した.細胞膜内に生じる電界を10^7〔V/m〕とすると,オキソノール系膜電位感受性色素WW781の極大吸収波長は,電界によって0.13nm長波長側にシフトすることがわかった.これにより,色素の膜電位感受性機構の基礎的解明を行った. 4.カルシウムインジケータの分光特性の検討 カルシウムインジケータFura2,Fluo3,Rhod2を蒸留水に溶解し,カルシウムインジケータ溶液の吸収スペクトルを測定し,単一細胞内カルシウム濃度分布の光微小プロービングのための基礎的データを得た.
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