研究概要 |
ショウジョウバエホメオボックス遺伝子に対応する数多くのマウス遺伝子がクローン化されており、Antennapedia遺伝子に対応するHox遺伝子群に含まれる遺伝子はこれまでに30以上クローン化されている。これらの遺伝子は4つのクラスター(Hox A, Hox B, Hox C, Hox D)を形成しており、in situハイブリダイゼーションなどによる解析の結果から、発生過程で主として外胚葉由来の神経管および中胚葉由来のいくつかの組織で発現していること、クラスター中の配列順序と頭尾軸に沿った発現領域との間に相関関係があることが明らかになっている。我々はこれまでクラスター構造、発現パターンがあまり明らかになっていなかった、Hox Cクラスターに含まれる6つの遺伝子を含む領域をクローン化しその配列順序を決定した。またこれらの遺伝子の発生過程における発現パターン調べた結果Hox Cクラスターに含まれる遺伝子も他クラスター中の遺伝子と類似の頭尾軸に沿った発現をしていることが明らかになった。さらに我々は最近開発した方法によってHox C遺伝子の標的遺伝子をいくつか同定しつつあるが、その中にショウジョウバエがん抑制遺伝子lethal(2)giant larvae(l(2)gl)と類似性のある遺伝子があることが明らかになった。 l(2)glは遺伝子産物が細胞面に局在していることなどから、細胞間相互作用に関わる遺伝子であること考えられており、Hox遺伝子産物は細胞間相互作用に関わる遺伝子の発現を調節することによってマウス発生過程を制御している可能性が示唆された。
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