研究課題/領域番号 |
04253219
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
川西 正祐 京都大学, 医学部, 講師 (10025637)
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研究分担者 |
杉山 弘 京都大学, 工学部, 助教授 (50183843)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
9,000千円 (直接経費: 9,000千円)
1993年度: 4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
1992年度: 4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
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キーワード | 制がん剤 / アンプリファイヤー / 効果増強 / DNA切断 / デュオカルマイシンA / ディスタマイシンA / コンピューターグラフィックス / DNA認識 / 制がン剤 / アンプリファィヤー / マイナーグルーブ / ネオカルジノスタチン / アクチノマイシンD |
研究概要 |
癌の化学療法に用いられる制がん剤の多くはDNAを作用部位とするので、制がん剤によるDNAの分子認識の研究は、大変重要である。ディスタマイシンAなどのDNA結合試薬がアンプリファイヤーとして制がん剤のDNA切断活性を増強するかどうかを検討した。新規抗癌性抗生物質であるデュオカルマイシンAは二本鎖DNAにおいて、AまたはTが三つ以上続く配列のアデニンをアルキル化(アルカリ処理により切断)するが、G・Cに富む部位での、アルキル化は認められなかった。しかし、ディスタマイシンAを共存させると、G・Cに富む部位でアルキル化の顕著な増大が認められた。そのDNA損傷の増強機構として、ディスタマイシンAはA・Tに富む溝の幅が狭いマイナーグループ(溝)を認識しアルキル化するが、ディスタマイシンAと共存した時にはG・Cに富む溝の幅が広いマイナーグループ(溝)を認識しアルキル化すると考えられる。即ち、デュオカルマイシンAとディスタマイシンAが共存するとDNAのG・Cに富む配列で三者からなる錯体が形成され、その結果デュオカルマイシンAがアルキル化することが推定された。その機構を確かめるためにコンピューターグラフィックスを用いてモデル化を行った。その結果、ディスタマイシンAとデュオカルマイシンAが2分子重なりDNAのG・Cに富む部位でのマイナーグループに結合し、三重錯体構造を形成することが判明し、この三重錯体構造がエネルギー的に最適化していることが明らかになった。この相異なる二つの分子によるDNA配列の認識を我々は"協奏的DNA認識(Concerted DNA Recognition)"と名付けた。このような新しい分子認識の機構は新たな制がん剤の開発に結び付くことが期待できる。
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