研究概要 |
IL-2シグナル伝達機構の解析から、IL-2受容体(IL-2R)β鎖とp59^<fyn>が共役し、この会合がp59^<fyn>及びp53/56^<lyn>のチロシンキナーゼ(PTK)活性化に関与することを明かとし、IL-2によるsrc型PTK分子の活性化カスケードの存在を示した。更にNIH 3T3細胞に再構成したIL-2R(IL-2Rαβγ鎖)は高親和性IL-2結合能及びIL-2の細胞内への取り込みがみられ、IL-2刺激に応答してMAPキナーゼのチロシンリン酸化の亢進及びc-jun,c-fos,c-myc遺伝子の発現誘導がおこるが、IL-2依存的な細胞増殖能を示さず、IL-2Rの再構成だけではIL-2依存的な細胞増殖の誘導に不十分であることを明かとした。 一方、インターフェロン(IFN)系の転写制御因子IRF-1,IRF-2のDNA認識配列が、多くのIFN誘導遺伝子、細胞増殖関連遺伝子に存在することを見いだし、更にIRFを中心とした遺伝子制御ネットワークが存在することをヒトIRF-1,IRF-2遺伝子発現の解析からを明かにした。また、IRF-1ないしIRF-2遺伝子欠損マウスの作製に成功し、IRF-1欠損マウスの胎児線維芽細胞で二重鎖RNA刺激でのIFN-α,-βの発現が低下することを見いだした。しかし、ウイルス感染時では変化はなく、IFN-β処理によるIFN誘導遺伝子(PKR,1-8,2'-5'オリゴA合成酵素遺伝子)の発現にも変化が見られなかった。一方、IRF-1欠損マウスのマクロファージでのIFN-γによる一酸化窒素(NO)の産生、誘導型NO合成酵素(iNOS)遺伝子の発現誘導がみられず、iNOS遺伝子の発現は特にIRF-1に依存している事を見いだした。これらの事から、IFNシステムにおけるIRFの重要性と共にredundancyが存在することを明かにした。
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