研究概要 |
GABA受容体サブユニットα1、α3、α6、β1、β2、β3、γ2とグリシン受容体サブユニットα1、α2、α3、βに対するアンチセンス合成DNAプローグを合成しin situ hybridization法を用いて,主に後根神経節における各々の発現について調ベた.これらサブユニットのうちGABA受容体β1とグリシン受容体α2以外の多くは成熟ラットの脊髄で発現していたが後根神経節で発現していたのはGABA受容体サブユニットγ2とグリシン受容体サブユニットβであった.GABA受容体γ2とグリシン受容体サブユニットβは全後根神経節細胞のそれぞれ37%と44%に発現していた.またGABA受容体サブユニットγ2を発現している神経節細胞の90%が大型の一次知覚ニューロンでありグリシン受容体サブユニットβを発現している神経節細胞の89%は大型の一次知覚ニューロンであった.またこれらの大型ニューロンの大部分のニューロンでγ2とβのサブユニットが共存していた.以上の結果から,GABAとグリシンが一次知覚神経伝達に抑制性に関与していることが示唆される.ただし,これらサブユニットが各々単独でGABAやグリシン受容体を形成し機能を発現しているかどうか不明なのでさらに検討が必要である.一次知覚入力の抑制性調節は脊髄後角でなされ,一次痛覚入力の抑制性調節はオピエートペプチドが,器械刺激に応答する入力の抑制性調節はGABAが関与していることが知られている.器械刺激に応答する大型のニューロンがGABAとグリシン受容体サブユニットを発現していることから脊髄後角においてGABAやグリシン線維から抑制性のaxo-axonicシナプス入力を受けていることが示唆される.
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