研究課題/領域番号 |
04255211
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
仙波 恵美子 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (00135691)
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研究分担者 |
野口 光一 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教授 (10212127)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1992年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 痛み / 細胞性癌遺伝子 / c-fos / 脊髄後角 / 神経障害 / サブスタンスP / 後索核 / ラット / ヒスタミン / 痒み / ストレス |
研究概要 |
末梢神経を傷害するとその細胞体において様々な変化が生じるが、その一つが神経ペプチドの発現の変化である。ペチプドの種類により、発現の低下と逆に発現の増加という全く正反対の2つのパターンが見られる。例えばSP、CGRP、SOMなどは末梢神経障害により発現の低下を示し、NPY、GAL、VIPは発現が誘導されると考えられていた。ところが、PPT(SPなどタキキニン類をコードする遺伝子)mRNAは、L5DRG細胞の小型細胞では坐骨神経切断により発現の低下を生じるが、逆に大型細胞の一部では発現が誘導されることが明かとなった。これは一つの組織内で同じ遺伝子が、細胞集団によって全く正反対の発現制御を受けている例であり非常に興味深い。免疫組織化学法によりSPの陽性終末の変化を検索してみると、坐骨神経切断2週間の腰髄レベルの障害側では、後角表層でSP陽性反応の低下が見られ増加傾向を示す部位は見られなかった。ところが延髄の薄束核では切断側で免疫反応の明らかな増加が観察された。この増加したSPTが薄束核ニューロンの活動性に何からの影響を与えている可能性を検討するため、傷害した坐骨神経に電気刺激を与えて薄束核に発現するFos蛋白に対する、SPレセプターアンタゴニストの影響を検索した。すると、アンタゴニスト投与群は有意にFos蛋白発現が抑制されることがわかった。これは末梢神経障害によりDRGの大型細胞で発現誘導され薄束核で増加したSPが、薄束核ニューロンの興奮性に影響を与え、またFos蛋白など遺伝子発現制御因子を誘導し、そのニューロンの遺伝子発現の長期的変化に結び付いていると推測できる。この後索核系の変化がどういう感覚異常に結び付くか、動物の行動との関連や電気生理学的検索を進める必要があると考えられる。
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