研究概要 |
動物細胞の細胞分裂の機構を分子レベルで解明するため、テトラヒメナの分裂に関する突然変異株,cdaA,cdaCなどを用いて,分裂面決定機構,分裂溝形成機構,分裂溝陷入機構,分裂溝消失機構,収縮のCa^<2+>-制制機構などについて解析した。 分裂面の決定には,cdaAの変異遺伝子産物であるp85がアクチン重合核となり収縮環微小繊維が形成されることを,蛍光抗体法や非機能性収縮環形成を起す骨格筋アクチンのテトラヒメナへの注射法で明らかにした.分裂溝陷入ではcdaCの解析により、収縮環アクチン繊維を束化するアクチン結合蛋白質が極めて重要な役割をになうことが判明した.我々は最近14-nm繊維に結合する蛋白質をみつけ.遺伝子解析からEF-1αであることをつきとめた.EF-1αはアクチン繊維を束化するという報告もあるので現在検討している.細胞質分裂では収縮環の収縮に伴って微小繊維の脱重合が起ると提唱されてきたが,その実体は全く明らかではなかった.この点に関し,アクチンの重合阻害をするアクチン結合蛋白質であるプロフィリンをテトラヒメナで始めて精製することに成功した。そして,その蛍光抗体像から,プロフィリンが分裂溝にアクチン繊維と共に局在することを見出した。これは分裂機構にとっても,プロフィリンの新しい機能にとっても重要なことなのでテトラヒメナ内にプロフィリン遺伝子やその改変遺伝子を導入して機能を検討している.分裂のCa^<2+>-制御機構についても,我々はテトラヒメナで,カルモジュリン,TCBP-23,TCBP+25の3種のCa^<2+>-結合蛋白質の遺伝子をクローニングしたので,これらや改変した遺伝子をpKK223-3を用いてE.Coliで蛋白質を合成させている.現在,これらの蛋白質をテトラヒメナに注射し,これらCa^<2+>-結合蛋白質の分裂への役割を検討している.
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