研究課題/領域番号 |
04258227
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
郭 伸 東京大学, 医学部(医), 助手 (40160981)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1992年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 神経細胞 / グルタミン酸受容体 / 興奮性アミノ酸 / アクロメリン酸 / カイニン酸 / AMPA / 脊髄 |
研究概要 |
興奮性アミノ酸の種類による神経細胞障害作用の違いを、ラット脊髄ニューロンで検討した。アクロメリン酸、カイニン酸、AMPAを様々な濃度に溶かした人工髄液を一定の速さ、時間で髄注し、行動上・病理学的な変化を検索した。アクロメリン酸は時間とともに、用量依存性に、後肢の伸展・痙直・弛緩性対麻痺(EC_<50>ほば4μM)を惹こした。これらの症状はCNQXの同時投与によって軽減し、APVによっては影響を受けなかった。弛緩性対麻痺を呈したラットの一部が翌日に不可逆の痙性対麻痺に移行した(EC_<50>ほぼ12μM)。脊髄の形態的な変化は、臨床像と相関し、痙性対麻痺を呈した例のみに見られた。急性期には神経細胞体の空泡変性、翌日以降では強いエオジン好性を示す変性神経細胞が灰白質中心部の小径細胞に認められた。カイニン酸を同様の条件で投与した場合、アクロメリン酸と同様の臨床像・行動変化に相関した形態的な変化が認められたが、神経障蛭作用の強さはアクロメリン酸に比し1/100以下であった。AMPAの脊髄運動ニューロン興奮作用はさらに弱く、後肢に痙性が見られる濃度と弛緩性麻痺を惹き起こす濃度が近接していた。また、AMPAは後角の神経細胞を選択的に障害した。これらの非NMDA受容体に作用する興奮性アミノ酸の間で神経障害作用が異なるのは作用する受容体サブタイプの違いによると考えられる。アクロメリン酸が脊髄に高い親和性をもつことは全身投与による病変から推察されていたが、局所投与によってもカイニン酸との比較によって支持する結果を得た。カイニン酸が海馬に高い親和性もつことを考えると、グルタミン酸受容体サブタイプの中枢神経内分布には高度な部位特異性があり、病変の選択性を生む要因になっていることが示唆される。
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