研究概要 |
パラミクソウイルスの一種であるニューカッスル病ウイルス(NDV)のエンベローブに存在する膜融合タンパク質Fは,ウイルスが細胞に感染するときに,ウイルス粒子と宿主細胞膜の膜融合に必須のタンパク質である。Fは宿主細胞のタンパク質合成系で前駆体F。として合成され,宿主細胞のトランスゴルジ領域でプロテアーゼにより活性化されF_1+F_2となる。我々はラット肝より調製したトランスコルジ膜より,前駆体Fを活性化するプロテアーゼを単離精製した。本酵素はCa依存性のセリンプロテアーゼであった。合成基質としてはBac-QRR-MCAをよく切断したが他の基質はあまり切断しなかった。DFPで阻害されるが ^3H-DFPで標識すると分子量67Kのタンパク質が標識された。この酵素はfurinとは異なるものと考えられる。またラット肝トランスゴルジ膜には,上期のプロセシングプロテアーゼの他に活性は弱いがメタロプロテアーゼも存在しており,Fタンパク質の活性化を行うことが明らかとなった。一方,前駆体Fタンパク質と成熟体Fタンパク質を標識するモノクローナル抗体を作成中であるが,F。認識抗体のクローンを2株とF_1認識抗体のクローン3株を分離した。これらの抗体を使ってFタンパクの細胞内での前駆体と成熟体の分布を明らかにできる。次にプロセシングプロテアーゼのcDNAのクローニングはfurinのアミノ酸配列の一部を用いて,またヌクレオチドを合成し,プライマーとしてPCR法を用いて,種々の組織のcDNAライブラリー及び単離mRNAより作成したcDNAよりクローニングを行い,2つの新しいプロセシングプロテアーゼのクローンを得ている。現在これらの新プロセシングプロテアーゼの全またヌクレオチド配列を研究中である。
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