研究課題/領域番号 |
04259225
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 姫路工業大学 |
研究代表者 |
大隅 隆 姫路工業大学, 理学部, 教授 (50111787)
|
研究期間 (年度) |
1992
|
研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
|
配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1992年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
|
キーワード | ペルオキシソーム / ペルオキシソーム膜蛋白質 / 3-ケトアシル-CoAチオラーゼ / 局在化シグナル / シグナルペプチド / 融合蛋白質 / 蛍光抗体法 |
研究概要 |
ペルオキシソーム膜の70kDa蛋白質(PMP70)の局在化シグナルを明らかにするため、PMP70の部分配列をアミノ末端側に、一方大腸菌のジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)の配列をカルボキシル末端側にもつ融合蛋白質を遺伝子工学的に構築した。この蛋白質をコードする遺伝子をチャイニーズハムスター卵巣来細胞(CHO)に導入して発現させ、作られた蛋白質の細胞内局在性を、抗DHFR抗体を用いた二重蛍光染色法によって調べた。その結果、PMP70の局在化にはアミノ末端側約220残基があれば十分であることがわかった。 一方、やはりアミノ末端側にペルオキシソーム局在化シグナルをもつ3-ケトアシル-CoAチオラーゼについて調べた。すでにこの酵素の前駆体のアミノ末端延長ペプチドにシグナル活性が存在することを明らかにしていたので、今年度はこのシグナルのアミノ酸配列依存性を検討した。延長ペプチド部分をDHFRのアミノ末端に結合させた融合蛋白質をCHO細胞に発現させ、前述と同様の方法で分布を調べた。プロセシング部位から上流に向って17番目の残基であるヒスチジンを他のアミノ酸に置換したところ、グルタミンでは弱いながらも局在化活性を保持していた。しかし塩基性アミノ酸のリジンまたはアルギニンに置き換えると、ペルオキシソーム局在化活性は失われ、かわりに弱いミトコンドリア局在化活性が現れた。疎水性アミノ酸に置き換えても同様の結果が得られた。一方、中性の親水性アミノ酸あるいは酸性アミノ酸では、どちらのオルガネラへも輸送されなかった。これらの結果は、チオラーゼ延長ペプチドの局在性シグナルとしての機能が、少くとも問題のヒスチジン残基に関する限り厳密な配列依存性をもち、かつ正の電荷は活性に関与しないことを示している。チオラーゼのシグナルは、従来から知られているSKL型シグナルとは、異なる認識機構によって受容されると考えられる。
|