研究課題/領域番号 |
04260229
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 埼玉県立がんセンター |
研究代表者 |
林 純一 埼玉県立がんセンター, 研究所生化学部, 主任研究員 (60142113)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1992年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | ミトコンドリアDNA / ミトコンドリアDNA欠損細胞 / ミトコンドリア遺伝子疾患 / 老化 / 癌化 / ミトコンドリア移植 |
研究概要 |
我々は、すでにHeLa細胞から、ミトコンドリアDNA(mtDNA)を完全に欠損した細胞株(ρ°HeLa細胞)を樹立している。そしてこの細胞にさまざまな変異形質をもつ細胞のmtDNAだけを導入することにより、mtDNAの突然変異がヒトのミトコンドリア病の原因となっていることを直接証明した。一方、正常マウス細胞と癌化したマウス細胞間でのmtDNA交換実験によりmtDNAの突然変異は造腫瘍性の発現には関与しないことを明らかにした。 今年度は先ずρ゚HeLa細胞をヌードマウスに植えても決して腫瘍が形成されないことが明らかにした。このことはmtDNAの突然変異ではなく、mtDNAそのものの存在が造腫瘍性の発現に必須であることを示している。次に、このρ゚HeLa細胞にヒトの正常細胞由来のmtDNAを導入しても、造腫瘍性が発現することを見出した。すなわち、HeLa細胞は自らのmtDNAを失うことによって造腫瘍性の発現も失ったが、癌細胞由来ではなく正常細胞由来のmtDNAを導入しただけで造腫瘍性が回復したのである。これらの事実は、造腫瘍性の発現にmtDNAそのものは必要ではあるが、少なくともmtDNAの“突然変異"が今回観察された造腫瘍性の消失と回復に関係しないということを示している。 今年度は、さらにρ゚HeLa細胞を用いて、ヒトの老化とmtDNAの体細胞突然変異の関連性についても解析中で、現在までのところ、有益な成果が蓄積しつつある。
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