研究概要 |
遺伝学的研究によって、大腸菌のruvA,ruvB,ruvC遺伝子の産物は相同的DNA組換えの後期温程に関与すると考えられている。私達は前年度迄の研究の結果、RuvAとRuvBタンパクは複合体を形成して組換え中間体であるHolliday構造の移動を促進する機能をもつという仮説をたて、本年度の研究によってこの仮説を証明した。又RuvCはHolliday構造を切断して組換え体を分離する特異的なエンドヌクレアーゼであることを前年度に証明したが、本年度は更にRuvCの性質を化学的に解析した。 1.RuvAとRuvBタンパクは各々4量体と2量体を形成し、この比率で、両者は安定な複合体を水溶液中で形成することを証明した。 2.合成DNAを用いて、Holliday構造のアナログである十字型DNAを作成し、RuvAがHolliday構造に特異的に結合する性質をもつ、RuvBはこの結合能を促進することを証明した。 3.RuvA-RuvB複合体は十字型DNAに結合して、ATPの存在下で二重鋭DNAを巻きもどして分離する活性(Holliday構造特異的ヘリケス)をもつことを発見した。 4.RuvA-RuvB複合体は、RecAタンパクによって形成されたHolliday構造に作用して、ATP分解のエネルギーを利用してHollidy junctianの移動させる(branch migration)活性をもつことを証明した。 5.種々の構造をもつDNAを作成して、RubCは十字型およびY型DNAに特異的に結合するが、切断するためには中央のコア部分にホモロジーが存有することが必要であることが示された。 6.RuvCのエンドヌクレアーゼ活性の至適pHは6〜9で、2価金属イオンが活性に必須で、高濃度の1価の金属塩は阻害的であることを明らかにした。
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