研究概要 |
本年度は、昨年度に引続いてプロスタノイド受容体のcDNAクローニングと低分子量GTP結合蛋白質rhoの細胞内機能の解析を行った。 1.プロスタノイド受容体のcDNAクローニング a.プロスタグランジンE受容体EP_3サブタイプ 昨年度に発見したEP_3受容体について再度スクリーニングを行い、この受容体mRNAのalternative splicingによりいくつかの分子アイソフォームが生じること。これらのアイソフォームは同一の膜貫通部位をもつがカルボキシ末端の尾部のみが異なること、この差によってG蛋白質とのカプリングの効率や脱感作に対する反応性の差が生じることを明らかにした。 b.プロスタグランジンE受容体EP_2サブタイプ EP_3受容体cDNAをプローブするホモロジースクリーニングにより新しいPGE受容体cDNAを得た。この受容体は、PGEに特異的で結合によりcAMPの増加を来たすことにより、PGE受容体中のEP_2サブタイプであろうと推定された。 2.低分子量GTP結合蛋白質rhoの細胞内機能の研究 血小板,リンパ球,3T3細胞及び海産動物卵で、rho蛋白を特異的に不活化するボツソヌスC_3酵素を用いてその細胞内機能を解析した。その結果、rho蛋白質が血小板やリンパ球の活性化に伴い活性化され、これらの細胞のインテグリンを活性化して細胞接着の亢進やアクチンファイバーの形成をおこすことが明らかとなった。また、rhoの活性化がCキナーゼの下流にあることも明らかとなった。また、3T3細胞では細胞接着を生理的に制御することにより足場依存性の増殖の調節をしていることが明らかとなった。更に、ウニ卵を用いた実験より、rhoが細胞分裂の際の収縮環の形成に関与していることも明らかとなった。
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