研究概要 |
珊瑚礁およびタンガニイカ湖沿岸域に生息する魚類の種間関係および共存様式に関する野外調査をスキューバ潜水観察により行った。 柳沢は,タンガニイカ湖のカワスズメ科魚類において,微生息場所をめぐる種内・種間関係が群集構造に与える影響について検討した。同一種でありながら,群集組成の違いによって異なる微生息場所を選択する個体群のあること,および親に保護されている子供の群れに,他種の子供が混ざる現象(混群)において,種の組み合せが特異的であることを明らかにした。 山岡は,海産岩礁性の魚類の顎歯及びその交換様式の多様性について7科10属16種について調査し,16種を顎歯の交換様式に基づき,3タイプに分類した。これらの結果と摂餌行動との関係を検討し,顎歯の交換様式が摂餌行動と密接な関係にあることを明らかにした。 幸田は,タンガニイカ湖岩礁域において潜水観察により摂餌行動を観察し,共存する藻食性カワスズメ科魚類3種が餌を巡って競争関係にあり,それは魚類の種内関係に影響されると同時に種間関係の複雑な影響を受けていることを明らかにした。また、タンガニイカ湖の沿岸性のカワスズメ種魚類40種について湖岸約70kmの分布を調べ,極めて狭い範囲にもかかわらず,約半数の種で分布の分断や地理的色彩変異が生じており、これらが湖低環境の不連続性と関係あるこを示唆した。 名越は、タンガニイカ湖における調査でこれまでに得られた資料に基づき,カワスズメ科魚類の繁殖様式の多様性と共存機構についての検討を行った。また、本研究の総括を行った。
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