研究課題/領域番号 |
04264210
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大崎 直太 京都大学, 農学部, 講師 (70127059)
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研究分担者 |
佐藤 芳文 京都医療技術短期大学, 診療放射線技術学科, 講師 (80215871)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1992年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 植食性昆虫 / 天敵 / 防衛法 / 隠蔽色 / モンシロチョウ / 警告色 / カブラハバチ / 個体選択 |
研究概要 |
植食性昆虫は天敵に対して様々な防衛法を獲得している。その防衛法は、植食性昆虫の住む植物の色彩と密接な関係がある。アブラナ科植物を加害する代表的な植食性昆虫は、モンシロチョウ属の幼虫とカブラハバチ属の幼虫である。前者の体色は緑色で、アブラナ科植物上では隠蔽色となっており、後者の体色は黒色で、警告色となっていると考えられる。しかしすずれも検証されていない。隠蔽色は味のうまい個体に発達しており、各個体に直接に利益があるので個体選択で進化してきたと考えられている。一方、警告色は味のまずい個体に発達しており、味のまずさを天敵に認識してもらう必要があり、常に犠牲者を伴うので、血縁選択か緑髭選択で説明されている。このような体色が関与する防衛法は寄生性天敵に対するものではなく、色覚の発達している鳥類に対するものと考えられている。このことを検証するために、緑色の背景と黒色の背景の上にモンシロ幼虫とハバチ幼虫を置き、ニワトリのヒナを用いて捕食実験を行なった。その結果、緑色のモンシロ幼虫は黒色の背景では良く捕食されたのに緑色の背景では捕食されなかった。従って、モンシロの味はうまくその体色は隠蔽食であることが検証された。一方、黒色のハバチ幼虫は黒色の背景では良く攻撃されたのに、目立つ緑色の背景ではあまり攻撃されなかった。しかも、攻撃されたハバチは捕食されずに即座に無傷のまま吐き出された。従って、ハバチの味はまずく体色は警告色であることが検証された。モンシロの隠蔽色は個体が直接に利益を得たので従来通り個体選択で説明できた。しかし、ハバチの警告色は犠牲者を伴わず、従来の説とは異なりこれも個体選択で説明できた。寄生性天敵による寄生率は隠蔽色をもつ味の良い種で高く、味のまずい警告色をもつ種で低かった。この事実に対する因果関係はまだ解決していない。
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