研究概要 |
エイコサペンタエン酸やドコサヘキサエン酸などの栄養実験の結果を解釈する基礎的知見として、いくつかのアラキドン酸リポキシゲナーゼについて基質特異性を洗い直した。ロイコトリエンを合成する5-リポキシゲナーゼは、私達がモルモット白血球、ラット好塩基性白血病細胞、ブタ白血球の酵素で調べたところ、炭素20個のアラキドン酸とエイコサペンタエン酸で高い活性を示し、エイコサトリエン酸とも反応するが、炭素22個のドコサヘキサエン酸や18個のリノール酸やa-リノレン酸とは、ほとんど反応しなかった。ウサギ網状赤血球の15-リポキシゲナーゼ(Kuehnらの報告)は、炭素18個のリノール酸やリノレン酸とは炭素20個のアラキドン酸さ同じように反応し、ドコサヘキサエン酸でも可成りの活性が認められるという。ブタ白血球の12-リポキシゲナーゼを精製して、基質特異性を調べたところ、炭素18,20,22の脂肪酸のいずれともよく反応し、ウシ血小板の12-リポキシゲナーゼがリノール酸やリノレン酸とほとんど反応しないとうん知見と対照的であった。さらに、ウシ白血球とヒト血小板の12-リポキシゲナーゼも抗体を使って精製して調べたところ、白血球の酵素は広い基質特異性、血小板の酵素は狭い基質特異性を示すという一般論が認められた。さらに、ブタの下垂体、ウシ気管上皮細胞、イヌ脳に、それぞれ基静特異性の広い白血球型の12-リポキシゲナーゼの存在することを示した。一方、基質特異性の狭い12-リポキシゲナーゼはウシやヒトの血小板にのみ見出されていたが、ヒト表皮細胞にリノール酸と反応し難い血小板型の12-リポキシゲナーゼの存在すること見出した。
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