研究概要 |
I.Na^+,K^+-ATPaseをピリドキサールでリン酸化の誘導体で修飾した。PLPはNa^+,K^+-ATPase α鎖、Lys-480に導入されていることがPLP結合ペプチドの分析から明らかにされた。PLP結合酵素は、ATPase活性とATPからのリン酸化酵素(EP)形成能を失っていたがアセチルリン酸(AcP)からのEP形成能を保持していた。Mg^<2+>とNa^+の存在下でAcPを添加するとPLPプローブの微小環境変化を反映する動的な蛍光変化が検出された。AcPから最初に生じるNa^+結合リン酸化酵素(E_1P)形成に伴い蛍光強度は減少し、Na^+を遊離したリン酸化酵素(E_2P)形成に伴い蛍光強度は逆に増加した。一方更に興味あることはATP添加ではEP形成が生じないにもかかわらずPLP蛍光強度に変化が生じた。以上に結果は従来PLPの結合した酵素はATPを結合しないとする仮説とは異なり、ATP結合により構造変化が生じるにもかかわらずEPを形成することが出来ないことを示している。しかしATPより小分子のAcPで2種のEPが形成されることから、PLP修飾はATPのγ位のリン酸転移を阻止していることが明白となった。Lys-480に結合したPLPブローブとAcPは今後PLP修飾酵素の反応機構研究に重要な役割を果たすことが期待される。 II.ブタ腎赤外髄質のミクロソーム分画からNa^+,K^+-ATPaseと、その上澄みからCyclic AMP依存性キナーゼを精製しNa^+,K^+-ATPaseのリン酸化を試みた。Na^+,K^+-ATPase α鎖当り1モルのリン酸化が生じたがNa^+,K^+-ATPase活性に大きな活性の変動は観察されなかった。リン酸化部位及びNa^+,K^+-ATPase部分反応に及ぼす効果を検討中である
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