研究課題/領域番号 |
04266226
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 理化学研究所 |
研究代表者 |
高月 昭 理化学研究所, 動物・細胞システム研究室, 主任研究員 (80011972)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1992年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | V-ATPase / 糖蛋白質 / 酸性化 / 細胞内転送 / 阻害剤 / フンリマイシン / 小胞体 / ゴルジ器官 |
研究概要 |
糖蛋白質は多岐に亘る生物機能を担っている。小胞体で合成された糖蛋白質は、ゴルジ器官を経て決められた場に細胞内を転送され、そこで生物機能を発現する。糖蛋白質の細胞内転送阻害剤を探索する過程で、液胞型プロトン輸送性ATPase(V-ATPase)の特異な阻害剤が糖蛋白質の細胞内転送を阻害することを見い出すと共に、簡便なV-ATPase阻害剤の探索法を確立した。本検索系を用いて、V-ATPaseの洗濯的な阻害剤を探索し活性物質を精製した。 フォリマイシンと同定した物質は、糖蛋白質の細胞内転送を阻害すること、また、V-ATPaseを選択的に阻害することを見い出した。フォリマイシン存在下に細胞内に蓄積される水疱性口内炎ウイルス外被糖蛋白質(G蛋白質)の糖鎖構造を解析し、(マンノース)_8(アセチルグルコサミン)_2の構造を有することを明らかにした。本糖鎖構造から、ゴルジ器官シス部位に至る以前の過程で糖蛋白質の細胞内転送が阻害されることが示唆された。G蛋白質に対する抗体を調製して二次蛍光抗体法で、フォリマイシン存在下に細胞内に蓄積したG蛋白質の局在を検討した。G蛋白質蓄積部位は複合型糖鎖を認識するレクチンで染まるオルガネラとは異なること、また、高マンノース型糖鎖を認識するレクチンで染まるオルガネラの一部と重複することを認めた。この結果は糖鎖構造解析の結果ともよく一致しており、フォリマイシン存在下に糖蛋白質の細胞内転送はゴルジ器官シス部位に至る過程で阻害されると結論できた。培養細胞をフォリマイシンで処理するとオルガネラの酸性化が阻害されることを認めた。小胞体から細胞表層に至る転送過程でV-ATPaseの関与するオルガネラの酸性化はゴルジ器官トランス部位以降の過程については多くが知られているが、ゴルジ器官シス部位以前の過程におけるV-ATPaseの新規な機能が示唆された。
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