研究課題/領域番号 |
04267101
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
清水 孝雄 東京大学, 医学部(医), 教授 (80127092)
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研究分担者 |
吉川 潮 神戸大学, バイオシグナル研究センター, 教授 (40150354)
飯野 正光 東京大学, 医学部(医), 講師 (50133939)
伊藤 誠二 関西医科大学, 教授 (80201325)
山本 長三郎 金沢大学, 医学部, 教授 (50008231)
井上 圭三 東京大学, 薬学部, 教授 (30072937)
藤澤 仁 旭川医科大学, 医学部, 教授 (10027039)
渋木 克栄 新潟大学, 脳研究施設, 教授 (40146163)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
134,100千円 (直接経費: 134,100千円)
1994年度: 43,000千円 (直接経費: 43,000千円)
1993年度: 44,700千円 (直接経費: 44,700千円)
1992年度: 46,400千円 (直接経費: 46,400千円)
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キーワード | 神経可塑性 / 逆行性情報伝達 / カルシウムシグナル / リン酸化酵素 / アラキドン酸 / 血小板活性化因子 / 長期増強 / PAF / ホスホリパーゼ / カルモジュリン / カルシウム / NO / キナーゼ / ホスホリパーゼA_2 |
研究概要 |
神経細胞情報のクロストークについて、以下の様な知見を得た。 (1)シナプスにおける逆行性情報伝達物質の最も有力な候補であるPAF(血小板活性因子)受容体の脳内局在、MAPキナーゼの活性化、シグナル脱感作の仕組み等を明らかにした(清水)。さらに、PAF代謝酵素(アセチルヒドロラーゼ)の触媒性サブユニットが脳回形成不全を症状とするMiller-Dieker症候群の原因遺伝と同一であることを明らかにした(井上)。これらの事実は、PAFは神経伝達のみならず、神経細胞の遊走や接着に重要な役割を果たしていることを示唆した。 (2)受容体活性化後のリン酸化経路については、吉川らは種々の脂肪酸のPKCへの活性化を検討し、プレシナプスに存在するεタイプの酵素がアラキドン酸で特異的に活性化されることを明らかにした。また、PKCはそのPHドメインを介して、RACキナーゼと結合することが明らかとなった。藤沢はラット脳より新たなタイプのカルシウム依存性キナーゼ、CAMキナーゼIVを新たに精製し、その活性化機構を明らかにし、神経伝達との関連に研究を進めている。 (3)電機生理学的には、次の3つの新たな知見が得られた。即ち、渋木らは成熟ラット大脳聴覚野の錐体細胞を用いて、その出力に長期増強があることを明らかにした。アラキドン酸代謝物やNOの産生がこれらの長期増強にいかなる影響を与えるかは検討課題として残された。山本はプレシナプスからの開口放出にあたり、従来の低親和性カルシウムチャンネルに加えて、新たな高親和性カルシウムの作用部位が存在することを示した。さらに、飯野はイノシトール3リン酸カルシウムチャンネルの多様性を検討する過程で、細胞内のチャンネル分布が異なることを初めて明らかにした。これらの生理学的成果は今後、物質的裏付けにより、伝達物質放出との機構を解明し、神経可塑性における逆行性情報物質の同定と作用機構を明らかにする上で、貴重な一歩と考えられる。
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