研究概要 |
Hippocampal cholinergic neurostimulating peptide(HCNP)はラット培養中隔核のChATase産生を誘導してAcCho産生を促進する新規ペプチドである。このHCNPおよびNCNPのN末端アセチル基を除いたfree-HCNP,PAGEで23KDa近傍に移動するHCNP前駆体の各々を定量する測定系の確立を目指した。 free-HCNPで家兎を免疫して得た抗HCNP抗体は、ELISAでこれらペプチドと反応を示すのみならず、海馬抽出液のWestern blot解析からHCNP前駆蛋白とも反応を示すが、他の成分との交叉反応性は少ないとことが確認された。この抗体を用いRIAの緒条件を検討し、以下の方法を最終測定法とした。緩衝液には1mM EDTAを含む50mM Tris-HCl(pH7.8)を用い、[ ^3H]-HCNP(5000DPM/0.1ml)+緩衝液(0.1m)又は資料(既知又は未知0.1ml)+1/200希釈抗HCNP抗血清(50μl)→incubation(4℃,overnight)→Amerlex-M0.5ml添加→incubation,30℃,15min→遠心上清0.3ml中の放射活性を測定、既知free-HCNP量を用いた検量線から未知資料中のHCNP量を算定した。このRIA系を用い14日齢ラット大脳皮質、海馬、小脳、橋を0.1%TFA溶液中で超音波破壊し、遠沈上清中に含まれるHCNP様物の定量を試みると、それぞれ15.0,7.0,4.9,30.0Pmol/mg蛋白(fluorescamin法)であった。また、C_4の逆相系カラケとA液:0.1%TEA,B液:0.7%TFAを含む90%アセトニトリルを用いたHPLCでfree-HCNP,HCNPおよびHCNP前駆蛋白は、それぞれB液濃度40%(RT14分16秒)、42%(RT16分16秒)、51%(RT25分4秒)に溶出される。各組織抽出液をHPLCで分画し、free-HCNP,HCNP前駆蛋白のRT近傍の画分に含まれるHCNP様物量をRIAで測定すると、各々の量比は大脳皮質で3:3:1,海馬で1:6:1,小脳で1:1:1.5,橋で2:3:0.2であった。
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