研究課題/領域番号 |
04268214
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
新井 孝夫 東京理科大学, 理工学部, 助教授 (60107422)
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研究分担者 |
大塚 仁也 東京理科大学, 理工学部, 教授 (90103035)
藤井 敏弘 信州大学, 繊維学部, 助教授 (50126702)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1992年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | モノクローナル抗体 / アルツハイマー病 / PHF / 微小管 / MAPIB / 神経突起 |
研究概要 |
アルツハイマー病の脳において、未成熟神経突起の異常な伸展が起きているという考えを支持する証拠が蓄積してきている。その主な生化学的証拠は、この脳の蓄積物質PHFの主成分が未成熟神経突起の微小管に特異的に存在する胎児型リン酸化タウであることである。また、本研究代表者らにより報告された「PHFには胎児型リン酸化を受けた未成熟神経突起微小管に多いMAP1Bも存在する」という結果も、この証拠の1つとなっている。本年度は、PHFに存在するMAP1Bの異なるリン酸化部位を特異的に認識する複数の抗体をもちいて、これらの部位がラット脳の生後発達の過程で受ける脱リン酸化について調べた。また、これらの抗体のエピトープの同定を行なうことにより、これらの部位のリン酸化の役割について推定した。本年度得られた結果を、以下にまとめる。 1.ラット脳MAP1Bのリン酸化には、幼若期特異的なものと成熟後にもみられるものとがある。3種類の抗リン酸化部位抗体の1つは成熟脳MAP1Bとも反応したが、他の2種はそれぞれ7日目以前と14日目以前の脳に特異的に存在するMAP1Bとのみ反応した。 2.MAP1Bの一次構造上の特徴より、塩基性領域(558〜788)、酸性領域(831-1150)、SP配列に富む領域(1247-1794)、17アミノ酸配列の14回の不完全繰り返し領域(1848-2098)、Pに富む領域(2099-2200)、塩基性の軽鎖領域(2201以降)に分類した。リン酸化部位抗体を含む4種の抗PHF抗体のエピトープは酸性領域近傍に、PHFと反応しない抗体のエピトープはそれよりC端に存在した。 3.以上のことから、PHF中のMAP1Bは、シナプスを形成していない未成熟な神経起に由来することが明らかとなった。また、このMAP1Bのリン酸化は、酸性領域と軽鎖との結合に影響を与えることにより、MAP1Bとチューブリンとの相互作用を制御するものと推定された。
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