研究課題/領域番号 |
04269202
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
松島 綱治 金沢大学, がん研究所, 教授 (50222427)
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研究分担者 |
原田 明久 金沢大学, 医学部, 助手 (00228636)
秋山 万里子 金沢大学, がん研究所, 助手 (60019867)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1992年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | インターリュウキン8(IL-8) / HIV / 遺伝子発現 / NF-kB / 日和見感染 / 免疫不全症 / サイトカイン / リポ多糠類 |
研究概要 |
インターリュキン8(IL-8)は、好中球の活性化に深く関与する因子で、日和見感染の病原体であるCandida albicans・抗酸菌などに対する好中球の殺菌作用をin vitroで増強することを我々は既に報告している。in vitroでのHIV感染した単球・マクロファージが無刺激時でのIL-8産生は亢進しているのに対して、LPS刺激時のIL-8産生はむしろ低下することも、我々は報告している。東京医科大学立山博士らとの共同研究の結果、HIV感染患者血清中のIL-8濃度はHIV感染の進行に伴い上昇するのに対して、患者末梢血白血球のLPS刺激IL-8下での産生能は低下していることを世界で始めて認めた。このことは、in vitroのHIV感染で認めた現象が、HIV感染患者の生体内でも起きていることを示唆しており、IL-8が日和見感染への防御に果たす可能性を考慮すると、この現象の機構の解析がHIVによる免疫不全状態を解明する手掛かりとなる可能性がある。 HIV感染によるLPS刺激時のIL-8遺伝子転写抑制機構の分子生物学的解析を行なうために、ヒト単球性白血病細胞由来THP-1細胞を用いて、LPS刺激によるIL-8遺伝子転写活性化に関与しているシス領域を同定した。IL-8遺伝子上流域-80から-70bpに存在するNF-kB様転写因子結合可能領域が、LPS刺激によるIL-8遺伝子転写活性化に最も重要であり、LPS刺激によってgel shiftアッセイで新たなコンプレックスの形成が生じることを認めた。HIVをin vitroでTHP-1細胞に感染させると、2つのHIV株がLPSによって生じるNF-kBコンプレックス形成を抑制することを認めた。以上の結果は、HIV感染による転写因子のこのような修飾がIL-8産生能に影響を与えることを示唆しており、この点の分子生物的解析がHIV感染にて見られる免疫不全状態の発生機序の解明につながる可能性も想定される。
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