研究概要 |
Tリンパ球細胞に潜伏感染しているHIVの転写がある種の刺激により活性化されると、ウイルス産生、AIDS発症に至る。したがってこの転写誘導に関与する転写因子を解析し、メカニズムを理解することはAIDS発症を抑制するために有用であると考えられている。転写因子のうちもっとも重要なものはHIVエンハンサーに結合するNF-kBであり、その活性はTPAなどにより促進される。私達はHIVエンハンサーに結合する別の転写因子をcDNAクローニングにより同定し、HIV-EPと名付けた。HIV-EP遺伝子ファミリーは1,2,3,の3つのメンバーから成り、いずれもメタルフィンガー構造を含む約250kDの蛋白質である。現在までのところHIV-EPが明らかに転写活性化能を持つ知見は得られておらず、HIV-EPはNF-kBと拮抗するリプレッサーである可能性が示唆される。
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