研究課題/領域番号 |
04269216
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立がんセンター |
研究代表者 |
岡本 尚 国立がんセンター研究所, ウイルス部, 室長 (40146600)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1992年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | HIV / AIDS / NFKB / シグナル伝達系 / redoX制御 / セリンキナーゼ |
研究概要 |
細胞内に潜むHIVプロウイルスの活性化の機構の研究のひとつの目標は、HIVプロウイルスの不活性化によるAIDS発病の阻止、すなわちウイルスとの共存co-habitationである、本研究課題では、HIVプロウイルス活性化の最初のステップと考えられるNFKBを標的とし、その活性化機構を生化学的および分子遺伝子学的方法論を用いて追及することを目的としてきた。NFKBは、休止期の細胞ではIKBとの複合体として細胞質に存在する。細胞質のNFKB:IKB複合体に対してCキナーゼが作用し、IKBをリン酸化することによりNFKBを活性化する可能性が提唱されていたが、NFKBの活性化はCキナーゼを阻害する条件下でも起こることが明らかにされた。申請者は別種の経路によるNFKBの活性化機構のひとつとしてNFKBがredox制御を受けることを見い出した。すなわち、NFKBのDNA結合能に酸化還元環境が重要であり、SH基特異的還元酵素thioredoxinによりDNA結合能が著しく高まることから、SH基を対象とした酸化還元反応が新たなシグナルとなりうる可能性を指摘した。また、細胞質NFKB:IKB複合体の中に新たなセリンキナーゼ(NFKBキナーゼ、と命名)の存在を証明した。NFKBキナーゼは、NFKBを特異的にリン酸化することでIKBをはずし、DNA結合能を活性化すること、等を明らかにした(論文投稿中)。NFKBキナーゼは細胞質内でNFKBと強く結合していることから、NFKBを標的とするシグナル伝達系との密接な関連が推定される。このキナーゼはH7およびH8などのCキナーゼ等阻害剤に抵抗性であるため、T細胞受容体を介するシグナル伝達系の最終過程を担うCキナーゼ非依存性の経路に関わるものであると考えられる。(767字)
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