研究概要 |
蚕のE遺伝子群(E complex)は腹部の体節構造の決定を行うHomeotic遺伝子群である。研究代表者はこれまでに、E complexはショウジョウバエのbithorax complexによく似た遺伝子群であることを明らかにしている。 研究代表者は、E complexとbithotax complxの構造との機能の比較を行い、両遺伝子群の類似点や相違点を明らかにしたいと考えている。構造解析については、E complexのクローニングを行ないbithorax complexとの分子構造の比較を行なう計画である。bithorax complexは300キロベース以上にも広がる長い遺伝子群であることから、E complexも同じような長さの遺伝子群であると推定している。クローニングはこれまでに単離しているUbx,abd-A及びAbd-BホモログのHomeobox部分を出発点としてgenome walkingによって行なっている。これまでそれぞれの遺伝子の50キロベースの範囲をクローニングし構造解析を行なっているが、まだ3つのHomeobox遺伝子がlinkしていることは証明できていない。E complexの機能の解析として、エンブリオでのUbx,abd-A及びAbd-Bホモログのtranscriptの発現のパターンをin Situ hybridizのtionを用いて解析した。その結果それぞれの遺伝子が発現する体節はショウジョウバエの場合と非常によく似ていることが明らかになった。即ち、Ubxホモログは胸部第3節から腹部第8体節までの体節で、abd-Aホモログは腹部第2体節から第8体節までの体節で、そしてAbd-Bホモログ は腹部第2体節から第8体節までの体節で、そして、エンブリオでのUbxホモログは腹部第6体節から尾部までの体節で発現が見られた。
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